まとめ
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JIM vol.15 no.8 特集「災害地におけるプライマリ・ケア」 http://www.igaku-shoin.co.jp/misc/jim/1508index.htmlより
災害被災地におけるプライマリ・ヘルス・ケア ①災害医療援助は「参加」:災害医療援助に参加することが被災者の存在を見捨てていないことを伝えるメッセージになる②災害医療援助は「時間との闘い」:災害医療援助は「通常の医療」が回復するまでの援助である.被災より最初の3日間はボランティア優位、4日目~1週間で行政の命令指揮系統が可動し、行政優位の期間に移行した.最初の1日目は打撲傷など外科的処置、2日目には寒冷による感冒、3日移行には不安による不眠、その後は慢性疾患用の医薬品へと医療ニーズが変わった. ③災害医療援助は「システム」:多くの被災者に対して圧倒的に少ない医療従事者という構図ができる中、医療従事者が多すぎて困るということはない.日常的な防災計画や防災演習を実施しておくことが重要.現場の状況をよく知る保健師らと情報共有する、そういったシステム構築が重要であった. ④援助を受ける側にもプライドがある:援助活動での援助者と被援助者の関係は、「利」が一方向に流れるスポンサーシップの関係にある.災害医療援助は、長くは続きにくい一面もはらんでいることを認識しておく必要がある. ⑤ポジティブリストからネガティブリストへ:決められている業務内容をしっかりと遂行するポジティブリストと異なり、災害医療援助の現場は何が起こっているか分からない状況に対応せざるを得ず、その中で行うべき課題を見つけ出し取り組まねばならないネガティブリストである.
被災地での心のケア トラウマ(心的外傷)とは:衝撃的な出来事、安全や生命の危機に由来する恐怖によって生じる心の特殊な作用のこと.衝撃的な出来事に遭遇すると、過去にあった衝撃的な体験がトラウマ性記憶としてよみがえることがある.抑うつ傾向などの気分の変調、身体的変調を生み、遷延することで生活の立て直しが困難になりやすい.自己効力感が極度に脅かされた状況でもあり、生存者の罪悪感(survivor’s guilt)や役立てなくて申し訳ない、元気になれなくて申し訳ないなどといった複雑な感情を生むこともある.天災の場合、直接の加害者ではないが行政への怒りや、生活で発生するトラブルでの怒りなどに矛先が向くこともある.また、トラウマは人間関係やコミュニティの機能も阻害するため、気分変調や身体の変調と併せて孤立感をもたらす. これらの減少が衝撃的な出来事の後、一時的に起こることは心身の正常な反応であり、多くは時間経過とともに軽減し回復する.しかしながら、その一部がPTSDや抑うつ、不安障害、依存症などとなることもあり、身体への作用も対象とした「心のケア」が求められる.
自然災害への「心のケア」: 予防的側面→ 初期対応→災害発生初期の「心のケア」は、治療よりも安全を確保し、安心感を与え、心身のストレスを緩和することを目的とする.心身に備わっている回復力を支え、補助する.特に深刻な影響を受けている個人に対しては専門的支援を考える.災害前より医療にかかっていた患者に医療サービスを提供することも必要である. 中期的対応→災害発生より1ヶ月程度を目処として回復に向かうか、遷延化に向かうかがある程度予測される.できるだけ早い時期に症状に気づき、援助を受けることが必要である. 長期的対応→被災の影響は長年に渡って残り、人的、物的喪失からの回復にも長期を要する.
救助者、援助者へのケア 専門家、ボランティアに関わらず援助者へのケアが重要課題である.援助者も「二次的被害者」であり、「二次的外傷性ストレス」を体験する.二次性外傷性ストレスは、間接的であるにも関わらず、その作用は直接の被害と変わらないことが指摘されている.
プライマリ・ケアと「心のケア」 身体面の不調は訴えやすく相談に抵抗がない.被災地では「心のケア」に類する看板を掲げるよりも、一般の医療保険活動の中で心の側面にも配慮することが望ましい. * 身体的訴えの背後に災害の作用がある可能性を考える. * 処置の第一は、質のよい睡眠を含む休息である. * 精神症状に直接言及することは慎重であるほうがよいが、睡眠の質に注意を払い、「ストレスによる疲労」「緊張による睡眠困難」という形で触れることで、精神症状にアプローチすることができる. * 激しいストレスの後に起こりうる症状などを説明し、それらは正常な反応であることを伝える.自身の状態を適切に把握し、罪悪感の増大など悪循環が生じないようにする. * 体験を語ることは回復を助けることがあるが、援助の最優先ではない. * 身体的訴えを通して受診すること自体が「孤立」を和らげる働きを持つと思われる. * 症状が重く、遷延する場合は、精神科あるいは精神保健相談窓口につなぐ.「正常な反応」であるという認識のもとで助言し、精神科受診の敷居を下げる.
医療救護活動タイムスケール フェーズ0:生存被災者相互による救助、脱出、応急処置 フェーズ1(~48h):系統的救出医療、強大な機動力と人力の投入が必要、災害現場での医療、臨時救護所での医療、後方病院への緊急搬送収容 Post-フェーズ1:収容利用の継続、救出負傷者の収容治療、重症者の後方転送、軽症者の外来治療、避難所の巡回診療、保健防疫対策 フェーズ2(~14d):初期集中治療、各科専門医による緊急治療 フェーズ3(~数ヶ月、年):後療法及び更生医療、リハビリ及び職業指導など