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発達障害の人たちへのサポートで、一番重要なことは「ひとりひとりの発達特性が異なることを理解して対応する」ことであり、
非常時でもそれ以外でも変わりません。
その人の特性を一番よく知っているのは、多くの場合家族であったり、頻繁に顔をあわせている先生や職員であるかもしれません。
サポートにあたる人は、できるかぎり「いつものその人を知っているひと」からアドバイスを受けて行動するようにしてください。
しかし、災害時には、必ずしもそういう人がそばにいるとは限りません。
そうなると、環境の変化が苦手な人はパニックになりやすいでしょうし、
コミュニケーションの苦手な人はなぜ周りが慌ただしいのかすらも理解できないかもしれません。
感覚刺激に対する反応が独特であると、大きなけがをしていても訴えがほとんどないかもしれません。
支援者も、サポートしたくてもどうやり取りをしたらいいのかわからない。
そのようなケースに対応する一般的な工夫として「視覚化」を中心にご紹介したいと思います。
株式会社おめめどうの奥平綾子さんの作成された文章から一部をご本人の許可を得て掲載したいと思います。
実際のpdfファイル(リンクを貼っています)には写真が載せられていますがページの都合上テキストだけを紹介させていただきます。
一人でも多くのかたの支援に役立てば幸いです(耳原総合病院 小児科 児玉和彦)

目次

自閉症・発達障害の人たちへの非常時の支援と工夫

はじめに

障害支援はひとりひとり違いますが、その障害が持つ基本的なベースがあります。
それは自閉症・発達障害の場合、視覚的なものを使って、具体的に物事を伝えるということ、
また、視覚的なものを使って、表現してもらうということです。
絶対に必要なことはみとおし、時間の構造化です。スケジュールやカレンダーがいります。
次に整えるのは、場所やものをわかりやすくする。
空間の構造化、枠をはっきりする、見てわかるようにする、兼用を避け、専用にするといったこと。
それから、感覚の違いです。それは、ひとそれぞれですが、どなたも違うんだという周囲の認識がいります。

自閉症に視覚支援を ということは

緊急時に、ご家族、そして、お子さんが、一番困るのが情報伝達です。
自閉症に視覚支援を・・・ということは、聴覚障害者に手話を・・・と同じです。
つまり知る権利を守る、人権尊重ということ。

「1日のみとおしを立てる」

もし、緊急の場所に居る、家でも非常時を過ごしているのであれば、
一番にすることは、「一日のみとおしを立てる」です。みとおしメモで、現時点からこれからの本人の予定をスケジュールします。
そして、簡易な巻物カレンダーを作り、地震のあった日から、どこで過ごす、なにがあるなどを記していきます。
本人が知りたい情報、学校が再開する、自宅へ帰るというようなことは、多めの日数をまずはどこかに記入してみましょう
一番見やすい場所に、このスケジュールとカレンダーの二つを貼ります。
あと、アナログ時計を置くと、時間はとけいメモとのマッチングができます。
してはいけないことがあったら、○×メモで、外に出ない×、部屋の中で遊ぶ○という風にしていいことを必ず一緒に伝えましょう。
テレビは、地震や津波のニュースになっています。子ども番組が楽しみなお子さんには、
「地震や津波で日本中が困っています。子ども番組がありません、残念」と書いて説明してください。
それから他のできる遊びを提案します。
したいことやする予定があって、今の状況でできないときは、
「春休みは地震で街が壊れてできません。@@へは夏休みに行きましょう」と
行ける行けないは関係なく、見える形で約束して安心させてあげてください。
さて、避難所など公共の場所に居るときは、できるだけ隅っこを選んで、敷物を敷いてその上に名前が見えるように書きます。
そのエリアを家族や自分の場所にしてしまいましょう。入れるかごを決めるとか本人の使うものは、人との兼用は避けましょう。
エリアの近い場所に、ひとりイスを置いてカームダウンに使うといいかもしれません。
毛布など包まれるもの。そして、イヤマフなどの感覚を緩和するグッズは必ずそばに。
それから普段からの癒しグッズや安心アイテム、遊び道具を持っておくこと。
<時間軸支援、場所軸支援、感覚緩和グッズ、コミュニケーショングッズ。それから、ご褒美(終わったらなにかあるか)>
・・・この五つを準備してください。

停電を説明するときは:理由をつけて絵で説明する。

例)地震と津波で、停電です(でんきがつきません)
こういうときは、地震や津波という意味がわからなくてもきちんと命名することです。シンボルや絵を添えると雰囲気だけは伝わります。

して欲しいことを伝えるときは:注意をするときは、○と×を書いたメモをつかいます

例)ひとりでうごかないでね× おかあさんの近くにいてね○
してほしくないことを伝えるときは、してほしいことを、必ず、一緒に伝えます

★みとおしを伝える:見通しを立てるにはスケジュールを書きます

どのような状況でも、現時点から書き始めます
現時点、どうしているか 
そのあと、起こることを続けていきます
できたら、毎日のルーティンは入れましょう
それが一日の時間の手がかりになります
できないことは、省きます
もし、はみがきやお風呂がしたいと言って来たら、地震、津波で今日は残念と、書いて伝えます
寝るところまで書き、みとおしをまず立ててあげましょう。それだけで違います
翌日の予定は、翌朝、一緒に書いていきます
みとおし不全が、一番不安定になります
どうぞ、スケジュールを、本人は、どうする、どういう予定かを知らせてあげてください

筆談で伝えるということ、筆談で聞くということ:
安心してほしいこと、伝えたいことがあったら、言って聞かせるのではなく、見せて伝えます

書いて聞いてみる:本人の気持ちを聞くときも、してほしいことを知るにも、音声の言葉で、聞くのではなく、書いて尋ねましょう。
音声の言葉だと、オウム返しやファンタジーになってしまいがちですが、筆談だと答えを読んで考えてくれます。
もし、答えが書けないときは質問がわからないときです。えらぶメモで選択肢を選ぶ形にします。
自分の気持ちが伝わっていることが見える形でわかるととても安心します

避難所では、専用のマイ・グッズにしてあげたい

非常時では、どうしても、兼用をしなくてはならず、人介入が増えて不安定になります
見える形で、このグッズは使える、この水道は使えないなどのルールを伝えるとともに、
マイ・バケツやマイ・毛布といった本人だけのものに決めてあげると、落ち着きます。

避難所の見取り図で、場所移動をスムーズに

トイレや食事などで場所を移動しなければならないときは、避難している建物の見取り図を使います。
自分のいる場所は、ココ
それから、トイレは、ココ
というようにマークをつけます
トイレならトイレの写真があると便利ですが、携帯で撮った写真を一緒にみせるでも、かまいません
どこに連れていかれるかわかるので、安心されますし、あちこちウロウロが減っていきます
見取り図がないときは、手書きでもかまいません
伝えているというこちらの気持ちが伝わっていきます

新しいサポーターと出会うときの準備と、サポーターのあいさつ

過ごす人を紹介する
出会う前に、携帯の写真で、相手の顔をとり、見せておきます。
サポートする人は、名前が書いてある名札を示しながら「こんにちは、@@さんです」と、呼んでほしい言い方で、自己紹介します
このとき、余計なことは付け加えないでおきましょう
名札がないときは、布ガムテープにマジックで書いたものを胸に貼るでも、かまいません。
顔を見せて→文字を見せて→声をかける の順番が、一番確実のように思います

★計画停電の時間を伝える:停電タイム⇒懐中電灯タイムへ

アナログ時計とのマッチングで、この時間になると、「懐中電灯タイム(停電)」と言う風に
肯定的なイメージを知らせることのほうが、気分的には楽に感じられるかもしれません。
あとは、停電中・懐中電灯タイムにどう過ごすかを決めて、することを示すスケジュール化をします。
まだ理屈がわからない幼児期だと、たいへんと思いますが、基本はスケジュールと視覚支援です。
見える形で、何時から消えて、何時になれば電気がつくことを知らせておきます。
文字や時計が読めない、読めるとかは関係ありません。
伝えることに意味があります。
本人がしたい活動で電気が必要なものなら、ついている時間にできると示します。
電気がいらない(充電や乾電池などで)したい活動なら、消えているときにできると伝えておきます。
そういうものを整理して、スケジュールに記しておくといいでしょう。
テレビが消えている間は、テレビに「停電中で見れません」と紙に書いて貼っておきます。
そういうちょっとした案内がかなり有効です。
暗い時間に停電が起こるときは「マイ懐中電灯」を持たせてあげてください。
自分でコントロールができると楽なのです。

停電時に上着を着てもらう:無理に着させようとしない

洋服のこだわりや習慣などによって服を着てくれない、着がえてくれないというようなことが起こることがあります。
停電の時に服を着てもらうには、まず説明をします。
本人には、着やすい素材のもの二択から、どの服を着るかを選んでもらえばいいでしょう。
すると押し付け感がなくなります。
部屋の中での上着に、抵抗の在るお子さんは、停電の時間がわかっていたら、
スケジュールに、上着のマークも記入し、予告しておくといいですよ。
なんにしても、説明と、それから、選択活動です
ただ自閉症・発達障害の人は、体温が高い傾向(暑がり)もあり、薄着でも結構平気です。
寒かったら、ちゃんと自分で着ます(これ、ホント!)着なくても、あまり気にしないことです