高齢者への災害時の対応
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広島県立総合精神保健福祉センター発行 災害時精神医療保健医療活動マニュアル救援や支援活動に携わっている方へ から、障害を持つ方への対応の部分を書き起こしました。
高齢者への対応について
高齢者は加齢に伴う心身の諸症状があるうえに,新しい環境に馴染みにくく,経済的な基盤が弱いなどの傾向があります。
これらに,被災による喪失体験から将来に対する絶望感等様々なストレスが重なり,心や体に変化が生じたり,生活上の問題を抱えて、新しい環境への適応が困難になります。
ストレス反応の特徴と問題点
災害後の環境の変化によって,次のような精神面での変化が見られることがあります。
- 月日,季節,場所等がわからなくなります。
- 生き残ったことについて,強い罪悪感を生じます。
- 失った人や物に固執し,現実を受容できなくなります。
- 新しい環境に馴染めず,周囲についていけなくなります。
- 孤独感を感じたり,誰か一緒にいないと不安を感じることがあります。
- 先が見えないことへの不安から絶望的になり,周囲の人からの援助を拒むことがあります。
対応
高齢者といってもそれぞれの生活歴によって心の変化は違ってきますが,一瞬にして全てを失った高齢者が生活を再建していくことは,心身ともに容易なことではありません。次のようなことに配慮する必要があります。
1 様々な不安に対して安心させます。
- ストレス反応や二次災害に関する正確な情報を与えることによって,少しでも不安を取り除くことが大切です。
- 何に困っているかを把握してニーズに応えることが大切です。
- こちら側が聞きたいことではなく,高齢者が言いたいことを一言でも多く話せる雰囲気づくりを工夫します。
- できるだけ同じ人が頻繁に顔を見せて,声をかけ,安心させます。
- 視線は同じ高さにし,肩を叩いたり体に触れて話をすすめると心が打ち解けやすくなります。
2 環境の急変による混乱に対して適切に対応します。
- 環境の変化により,物忘れがひどくなったり,精神的に混乱を起こしているようでも“ボケた”という言葉は禁句です。
- 叱ったり,注意をしないように,焦らず相手のペースに合わせて接することが大切です。
- 精神的混乱を起こしているいるようなら,日付,時間,状況を繰り返し説明して認識を助けることが必要です。
3 生活に張り合いを取り戻せるように援助します。
- 昼間寝ていたり,ぼんやりしている様子が目立つ時には,声をかけて雑談や体操をしたり,散歩に誘ったりして,孤独にならないように心がけます。
- 可能な範囲で身だしなみや身の回りのことにも気を配ります。また,何か役割をお願いするのも有効です。
4 小さな変化も見逃さずに健康状態を観察します。
- 周囲の人に遠慮してがまんしたり,言いたいことも言えずに,状態が悪くなることがあります。
5 プライバシーの保護に気をつけます。
- 避難所などで,ポータブルトイレ,採尿器,オムツを使ったりする高齢者がいたら,なるべく壁側を選んで,カーテンなどの仕切りを工夫します。
6 本人の気持ちを尊重します。
- 「避難所に行きたくない」「援助もいらない」という一人暮しの高齢者には,安全が確保でき,自活が可能な状態ならば,本人の意思を尊重します。
- 危険な状態なら,説得して早期に連れ出すこともやむ得ませんが,その後のフォローが大切です。特に高齢者にとって,「家」は心の拠り所なので,高齢者の気持ちをじっくり聞いて,これからの生活に希望がもてるよう援助することが必要です。
このマニュアルには、障害者への対応の他に以下の項目も含まれています。
- 救援者・支援者としての心構えについて
- 妊産婦への対応について
- 乳幼児への対応について
- 学童期以降のこどもへの対応について
- 障害への対応について
- 障害を持つ方への災害時のケア として書き出しています。