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ウイルスベクターワクチン viral vector vaccine は,日本の行政文書では「組換えウイルスワクチン」と呼ばれることもあります.
上記mRNAワクチンでは,病原体タンパク上記のとおり,病原体タンパクを作るmRNAをヒトの体内に入れるのがmRNAワクチンです. それに対して,病原体タンパクを作る遺伝子を,他の無関係なウイルスの遺伝子の中に組み込んで(無関係ウイルスの遺伝子を組み換えて),組み換え遺伝子を持つ無関係ウイルスをヒトの体内に入れるのが,ウイルスベクターワクチンです. 無関係ウイルスは遺伝子を運ぶだけの役割であり,「ベクター vector」と呼ばれます. ベクターは「媒介体」と訳されることもありますが,病原体を生物から生物へとうつす(媒介する)虫などのこともベクターと呼びますね.例えば日本脳炎やデング熱を媒介する'''蚊'''やツツガムシ病やSFTSを媒介する'''マダニ'''はベクターです. どんなウイルスも,生物の細胞の中に入ると自分が持つ遺伝子を細胞の中に出して,生物の細胞が持つアミノ酸や塩基をフル活用し,自分と同じ遺伝子とタンパクを複製する性質を持っています. ベクターウイルスもヒトの体内で細胞内に入り,自分が持つ遺伝子によってタンパクを作るわけですが,病原体の遺伝子がそこに組み込まれているためにヒト細胞は'''病原体タンパクをせっせと作る'''ことになります. つまり,ベクターウイルスがヒト細胞に入って組み換え遺伝子を細胞内に出した時点で,'''mRNAワクチンと同じことが起きる'''のです. これがウイルスベクターワクチンの仕組みです.<br>病原体タンパクをヒト細胞に作らせるために,mRNAを直接入れるかベクターウイルスに運んでもらうかの違いですね. なお,ベクターウイルスは“生きた”ウイルスとしてヒト体内に入るため,元のウイルス自体に病原性があっては困ります.当然のこととして,'''ヒトには一切病気を起こさないウイルス'''だけがベクターウイルスとして選ばれます.
==3ワクチンの治験 phase 3 論文のかんたんまとめ==

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