差分

ナビゲーションに移動 検索に移動
コロナウイルスの免疫を語る際には,「抗体依存性免疫増強 Antibody-dependent enhancement, ADE」という概念を必ず考えねばなりません.
何やら難しい言葉ですが,一言で言えば,何やら難しい言葉ですが,ざっくり言えばこういうことです.
{{Quote
|content=
</div>
}}
のことです.ADEを起こす病原体は珍しいのですが,コロナウイルスはどうなのか? コロナウイルスは数多くの動物種に感染することが知られています.何しろ現在のSARS-CoV-2は何かの動物(コウモリ?ヘビ?)だけに感染していたはずのコロナウイルスが変異してヒトにも感染するようになったという仮説がありますし,SARS-CoV-2自体がさらにイヌやネコやミンクやゴリラに感染することがわかっています. ネコだけに感染するネココロナウイルスもあります. ネココロナウイルスのうち,ネコ感染性腹膜炎ウイルス(FIPV)というコロナウイルスはその名のとおりネコに重篤な感染性腹膜炎を起こしますが,これがADEによるものであることがわかっています.{{Quote|content=[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6612493/ Takano, Tomomi, Shinji Yamada, Tomoyoshi Doki, and Tsutomu Hohdatsu. “Pathogenesis of Oral Type I Feline Infectious Peritonitis Virus (FIPV) Infection: Antibody-Dependent Enhancement Infection of Cats with Type I FIPV via the Oral Route.”Journal of Veterinary Medical Science 81, no. 6 (April 23, 2019): 911–15. https://doi.org/10.1292/jvms.18-0702.]}} 一方でヒトに感染するコロナウイルス7種のうち,明らかなADEの報告は1種もありません.SARS-CoV-2は少ないながらも2回感染する症例が世界各地から報告されていますが,2回目が重症となった患者は決して多くはなく,今のところSARS-CoV-2がADEを起こすというエビデンスはありません. ただし,2003年に世界でアウトブレイクを起こしたSARSウイルスでは,ワクチンの開発段階で「T細胞レベルでの理論的なADEの可能性」が報告されました.{{Quote|content=[ ]}}
ヒトにADEを起こすので有名なのは,あのデング熱です.

案内メニュー