差分

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Sanofi Pasteur の発表を受けて,フィリピン保健省は2017年12月に Dengvaxia 接種を直ちに中止しました.
これが史上初のデングウイルスワクチンが辿った悲劇です.悲劇はデングワクチンだけに留まらず,フィリピン全土での“反ワクチン忌避”にまでつながりました(後述).これが史上初のデングウイルスワクチンが辿った悲劇です.悲劇はデングワクチンだけに留まらず,フィリピン全土での“反ワクチン忌避”にまでつながりました.
今回の3ワクチンでも,数年後に同様の事態が起きる可能性は,まだ残されています.
ところが2018年は67%,2019年でも73%と破滅的に激減しました.
:[https://apps.who.int/immunization_monitoring/globalsummary/coverages?c=PHL WHO vaccine-preventable diseases: monitoring system. 2020 global summary - Coverage time series for Philippines (PHL) ]
::※「MCV1」参照※「MCV1」参照;他のワクチンも軒並み接種率が激減しています.
麻疹は感染力が強い(基本再生産数が12-18;新型コロナは2.5)ため,ワクチン接種率は95%以上を維持しなければ制御できないとされています.70%を割るような落ち込みは,麻疹大流行を間違いなく引き起こします.<br>
死者の数だけで比較するのは不謹慎なのは承知の上で,
{{Quote|content=Dengvaxia由来のADEで3人死亡したことがきっかけで,麻疹ワクチンで守られるはずだった415人(実際にはもっと多数)が死亡した}}
と言わざるを得ません.と言わざるを得ないのです.
</div>
新型コロナとADEについては下記の総説もご参照ください.なお,仮に新型コロナワクチンで1-数年後にADEが報告されたとしても,統計学的な検証で初めて発見されるはずです.治験phase 3で重症COVIDに対する VE が88%超という高い成績を示したわけですから,「ワクチン接種者が短期間に次から次へと重症COVIDを発症していく」のようなシナリオはほぼあり得ないでしょう.それでも,1-数年後に重症COVID患者に対するワクチン接種という曝露の有無について症例対照研究を行うと,ひょっとしたら統計学的にはワクチン接種者の方が重症化のオッズ比が有意に高くなるかもしれません.Dengvaxiaと同じ道を辿る可能性はまだあるのです. もちろん,そのようにして発見されるADEならば,頻度は相当に低いはずです.であれば,「この重症COVID患者はワクチン接種が原因だ」などと断定することはまず困難でしょう. 未知の重篤有害事象と同じく,相当低頻度と予想される接種後ADEのリスクと接種しない場合の感染リスクを比較すれば,接種によるメリットの方がずっと大きいと考えられます. 個人の選択としては未知のADEへの懸念を理由に接種を控えるのは得策ではありませんが,ワクチンに対する医学的評価としてはADEの可能性は常に検証せねばならないということです.  その他,新型コロナとADEについて下記の総説もご参照ください.
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