差分

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もちろん,3論文ともKaplan-Meier法による累積発症グラフを掲載しており,そちらの方が視覚的にわかりやすいです.是非ご参照ください.著作権の関係でグラフを本ページに転載することができないため,代わりに平均追跡期間を計算した次第です.参考程度にお考えください.
<div class="toccolours" style="background-color:lightgoldenrodyellow;">なお,AstraZenecaワクチンの「LD→SD投与群」の VE が90.0%であることにはちょっと注意が必要です.<br>95%信頼区間の下限は67.4%なので統計学的有意差(危険率5%)は検出されているのですが,SD→SD投与群の VE 62.1% に比べてずいぶん乖離があります. この点には,治験担当者自身が discussion で下記のようにコメントしています.{{Quote|content=<div style="font-size:1.1em;">there is a possibility that '''chance''' might play a part in such divergent results</div>(「こうした結果の不一致には,'''偶然'''が寄与している可能性がある」)}} 「偶然」? ややこしいのですが,統計学的有意差は検出されているので,「LD/SD群がプラセボに比べて予防効果がある」ことは確かでしょう.<br>でも,「SD/SD群が60%台なのにLD/SD群は90%台というのは何だか不思議だね納得しにくいね」ということを治験担当者たちは考えたようです.<br>つまり,「有意差はあっても90%という見かけの数字は大きすぎ=偶然に良い数字になっちゃったのかもね」と治験担当者が考えているということです. 偶然に良い数字なのだとしたら,神のみぞ知る真の VE は何%ぐらい?<br>それは神にしかわからないのですが,それを推測する材料が95%信頼区間と,「元々意図していた投与量」であるSD→SD群での結果です. 95%信頼区間の下限が67.4%ということは,真の VE が 67.4% かもしれないし 70% かもしれないし,ということです. 治験担当者が「偶然」と書いたのはそういう意味合いだと理解していいでしょう.</div>なお,AstraZenecaワクチンのVEの解釈については,表の後に追加コメントがあります.
{|class="wikitable" style="min-width:600px;"
|colspan="2" align="middle"|100% (算出不能-100)
|}
 
<div class="toccolours" style="background-color:lightgoldenrodyellow;">
AstraZenecaワクチンの「LD→SD投与群」の VE が90.0%であることにはちょっと注意が必要です.<br>
95%信頼区間の下限は 0 よりも上(67.4%)なので統計学的有意差(危険率5%)は検出されているのですが,SD→SD投与群の VE 62.1% に比べてずいぶん乖離があります.
 
この点には,治験担当者自身が discussion で下記のようにコメントしています.
{{Quote
|content=
<div style="font-size:1.1em;">
there is a possibility that '''chance''' might play a part in such divergent results
</div>
(「こうした結果の不一致には,'''偶然'''が寄与している可能性がある」)
}}
 
「偶然」?
 
ややこしいのですが,統計学的有意差は検出されているので,「LD/SD群がプラセボに比べて予防効果がある」ことは確かでしょう.<br>
でも,「SD/SD群が60%台なのにLD/SD群は90%台というのは何だか不思議だね納得しにくいね」ということを治験担当者たちは考えたようです.<br>
つまり,「有意差はあっても90%という見かけの数字は大きすぎ=偶然に良い数字になっちゃったのかもね」と治験担当者が考えているということです.
 
偶然に良い数字なのだとしたら,神のみぞ知る真の VE は何%ぐらい?<br>
それは神にしかわからないのですが,それを推測する材料が95%信頼区間と,「元々意図していた投与量」であるSD→SD群での結果です.
 
95%信頼区間の下限が67.4%ということは,真の VE が 67.4% かもしれないし 70% かもしれないし,80%かもしれません.「元々意図していた投与量」であるSD→SD群での VE が 62.1% だったんですから,LD→SD群の真の値も低めに見積もった方が無難かもしれません.
 
治験担当者が「偶然」と書いたのはそういう意味合いだと理解していいでしょう.
 
それでもLD→SD群の90%が真の値に近いかもしれないなら,SD→SD群より良い結果になった理由の推測は?<br>
この先は私の“妄想”レベルですのでご参考までに.
 
ひとつ想像できるのは,LD→SD群の接種間隔です.当初4週間を計画していたのが,ワクチンロット検定不具合から大幅に接種間隔が延びてしまいました.半数以上の参加者が12週以上(3ヶ月以上)の接種間隔です.この接種間隔の長さが,より良いブースター効果を生んだのかもしれません.
</div>
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