差分

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ひとつ想像できるのは,LD→SD群の接種間隔です.当初4週間を計画していたのが,ワクチンロット検定不具合から大幅に接種間隔が延びてしまいました.半数以上の参加者が12週以上(3ヶ月以上)の接種間隔であり,SD→SD群より長くなりました.この接種間隔の長さが,より良いブースター効果を生んだのかもしれません.
体内で増殖した病原体抗原(ワクチン由来も含む)は複雑な免疫応答を惹き起こしますが,中心になるのはB細胞の活性化とそれに続く形質細胞および記憶B細胞への分化です.各所のリンパ節や脾臓にある胚中心(germinal 体内で増殖した病原体抗原(ワクチン由来も含む)は複雑な免疫応答を惹き起こしますが,中心になるのはB細胞の活性化とそれに続く形質細胞およびメモリーB細胞への分化です.各所のリンパ節や脾臓にある胚中心(germinal center)で一連のB細胞の分化と親和性成熟が進んで十分量の特異抗体が産生されるようになるまでに,およそ4週間かかるとされています.
:(※詳しくは免疫学の教科書をご参照ください.あるいは成書 Plotkin's Vaccines 7th ed. の Section 1 > 2 Vaccine Immunology > Vaccine Antibody Responses のチャプターにも詳しく書かれています.[https://www.youtube.com/watch?v=qGsyBwDVnTU こちらのYouTube動画も美しいアニメーションでまとまっています])
初回接種から4週間かけてB細胞が活性化→分化しますが,分化してできた形質細胞は寿命が短いため,分泌される抗体量はいったんゼロ近くまで減少してしまいます.その後に再び病原体抗原にさらされる機会があれば---ワクチンであれば2回目を接種すれば,記憶B細胞が7日以内という短期間に一気に形質細胞に分化し,低下していた抗体分泌を再び活発にします.再刺激された抗体産生は初回接種よりも多くかつ長く保たれます.ワクチンであれば2回目を接種すれば,メモリーB細胞が7日以内という短期間に一気に形質細胞に分化し,低下していた抗体分泌を再び活発にします.再刺激された抗体産生は初回接種よりも多くかつ長く保たれます.<br>
これがワクチンのブースター効果です.
ただし,胚中心で開始されたB細胞の親和性成熟のプロセスは,胚中心が数週後に消失した後も,数ヶ月間は持続するとされています.ということは,初回接種から時間が経てば経つほど,B細胞は病原体抗原に対してより強い親和性を獲得=抗原によりフィットする抗体が産生できるようになります.よって,初回からブースター接種までの時間がより長くなれば,より効果の高い抗体を記憶B細胞→形質細胞が大量生産してくれることになります.ただし,胚中心で開始されたB細胞の親和性成熟のプロセスは,胚中心が数週後に消失した後も,数ヶ月間は持続するとされています.ということは,初回接種から時間が経てば経つほど,B細胞は病原体抗原に対してより強い親和性を獲得=抗原によりフィットする抗体が産生できるようになります.よって,初回からブースター接種までの時間がより長くなれば,より効果の高い抗体をメモリーB細胞→形質細胞が大量生産してくれることになります.
LD→SD群がSD→SD群よりも本当に VE が高かったのであれば,「接種間隔が延びてしまったことがB細胞の親和性成熟をより促し,結果的に免疫がより強くなった」が理由かもしれません.

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