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一言で言えば,「効果が期待できて,重篤または接種をためらう有害事象が観察されないワクチンを,よくぞこの短期間で3種も実用化までこぎつけたものだ」と感嘆するレベルです.
===認可後に米国CDCが発表したPfizer, Moderna両ワクチンでのアナフィラキシー反応===
米国ではPfizer, Moderna両ワクチンの緊急使用認可後に,同国のワクチン接種後有害事象集計システム「[https://vaers.hhs.gov/ VAERS]」を通じてアナフィラキシー様症状が集計され続けています.
それらをCDCが解析した結果,両ワクチンで次のとおりアナフィラキシーが確認されました.{|class="wikitable"|-!!style="width:40%;"|Pfizerワクチン!!style=認可後に米国CDCが発表したPfizerワクチンでのアナフィラキシー反応==="width:40%;"|Modernaワクチン|-!発表日|[https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7002e1.htm 2021年1月6日]|[https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7004e1.htm 2021年1月10日]|-!集計期間|2020年12月14日-23日<br>(10日間)||2020年12月21日-2021年1月10日<br>(21日間)|-!発生件数<hr>接種本数|21例<hr>1,893,360本||10例<hr>4,041,396本|-!発生件数<hr>100万接種|11.1<hr>100万接種||2.5<hr>100万接種|-!年齢|中央値40歳,範囲27-60歳||中央値47歳,範囲31-63歳|-!女性割合|21例中19例(90%)||10例全員(100%)|-!接種後経過時間|21例中15例は接種後15分以内に発症<br>中央値13分,範囲2-150分|10例中9例は接種後15分以内に発症<br>中央値7.5分,範囲1-45分|-!アレルギー既往歴|21例中17例はアレルギー既往あり(薬剤6例,造影剤2例,食物1例,ワクチン0例)<br>うち7例はアナフィラキシー既往あり|10例中9例はアレルギー既往あり(薬剤6例,造影剤2例,食物1例,ワクチン0例)<br>うち5例はアナフィラキシー既往あり|-!治療内容|21例中18例がアドレナリン筋注,1例がアドレナリン皮下注により治療開始|10例全員がアドレナリン筋注により治療開始|-!経過|21例中3例がICU入院,1例が一般入院,17例が救急外来のみでの治療|10例中5例がICU入院(うち4例が気管挿管),1例が一般入院,4例が救急外来のみでの治療|-!転帰|報告時点で21例中20例が快復帰宅|報告時点で10例中8例が快復帰宅ここで,治験ではなく,米国での緊急使用認可後の市中接種で初めて報告されたアナフィラキシー反応を見ておきましょう.|}
米国では2020年12月11日(金)にPfizerワクチンの緊急使用認可が出され,週明け14日から全米各地で急速に接種が始まりました.治験参加者よりも遥かに多い人数が短期間で接種を受けたため,アナフィラキシー反応の報告も相次ぎました.
 
それを受け,2020年12月14日-23日の10日間に報告されたアナフィラキシー反応について,米国CDCが2021年1月6日に以下のとおり発表しました.
 
{{Quote
|content=
[https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7002e1.htm Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine — United States, December 14–23, 2020. January 6, Early Release, MMWR 70]
}}
*VAERS(※米国のワクチン接種後有害事象集計システム)に2020/12/14-/23の間に,Pfizerワクチン接種後のアナフィラキシー反応が,計21例報告された
*この間に同ワクチンは 1,893,360 本接種された(全員が1回目接種)
*アナフィラキシー反応の発生頻度は100万接種当たり'''11.1'''件である
*21例の年齢の中央値は40歳,範囲は27-60歳だった
*21例中19例(90%)が女性だった
*21例中15例は接種後15分以内に発生した;時間経過の中央値は13分,範囲は2-150分だった
*21例中17例はアレルギーの既往があった(薬剤6例,造影剤2例,食物1例,ワクチン0例);さらにうち7例はアナフィラキシー反応の既往があった
*21例中18例がアドレナリン筋注,1例がアドレナリン皮下注により治療開始された
*21例中3例がICU入院,1例が一般入院,17例が救急外来のみでの治療だった
*本報告時点でうち20例が快復し帰宅している
 
===認可後に米国CDCが発表したModernaワクチンでのアナフィラキシー反応===
続いて4日後,Modernaワクチンのアナフィラキシー反応についても,米国CDCが2021年1月10日に以下のとおり発表しています.
 
{{Quote
|content=
[https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7004e1.htm Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Moderna COVID-19 Vaccine — United States, December 21, 2020–January 10, 2021, Early Release, MMWR 70]
}}
*VAERS(※米国のワクチン接種後有害事象集計システム)に2020/12/21-2021/1/10の間に,Pfizerワクチン接種後のアナフィラキシー反応が,計10例報告された
*この間に同ワクチンは 4,041,396 本接種された(全員が1回目接種)
*アナフィラキシー反応の発生頻度は100万接種当たり'''2.5'''件である
*10例の年齢の中央値は47歳,範囲は31-63歳だった
*10例全員(100%)が女性だった
*10例中9例は接種後15分以内に発生した;時間経過の中央値は7.5分,範囲は1-45分だった
*10例中9例はアレルギーの既往があった(薬剤6例,造影剤2例,食物1例,ワクチン0例);さらにうち5例はアナフィラキシー反応の既往があった
*10例全員がアドレナリン筋注により治療開始された
*10例中5例がICU入院(うち4例が気管挿管),1例が一般入院,4例が救急外来のみでの治療だった
*本報告時点でうち8例が快復し帰宅している
 
===アナフィラキシーの頻度の解釈について===
上記のとおり,2021年1月10日までの時点で,アナフィラキシー反応がPfizerワクチンで100万接種当たり'''11.1'''件,Modernaワクチンで100万接種当たり'''2.5'''件と報告されました.

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