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決して,ワクチンを打った後ではないのです.
===現実のハードル=3ワクチン普及への現実のハードル==前述のとおりさまざまなシナリオを想定する必要がありますが,それとは別に,現実的なハードルもまた見据える必要があります.
====人口が多い国ほど接種完了までに時間がかかる=ロジスティクス===何といってもロジスティクス,すなわち,輸入または製造,国家検定,輸送,個々の接種機関への配布,保管保存,接種場所と接種時間の確保,接種人員の確保と通常診療とのバランス,接種順位の決定と公平性の確保,有害事象の報告システム,重篤有害事象時の国家補償の給付,エトセトラ,エトセトラ.
全く新しいワクチンを一気に広範囲に接種するわけですから,準備しなければならない要素が山盛りです.現に,自治体/保健所と地域医療機関(特にプライマリケア医療機関)は今,てんてこ舞いになって準備を進めてくださっています. またPfizerワクチンは長期保管温度はマイナス70℃とされ,輸送時の専用車や大量ドライアイスの調達,接種機関での超低温冷凍庫(deep freezerと呼ばれるもの)の購入と設置など,従来ワクチンとは異なる体制や機器を新たに整備せねばなりません. ロジスティクスの確立と維持改善に,行政と医療機関は相当な労力を要することでしょう. ===人口が多い国ほど接種完了までに時間がかかる===当然のことですが,人口が多ければ多いほど,ワクチンが必要人口に行き渡るまでに長期間を要します. コロナ前の日本では,毎冬約2,000万-2,500万本のインフルエンザワクチンが接種されていました.接種が集中するのは10月後半から1月前半ぐらいですから,1ヶ月あたり800-1,000万本ほど接種されていたことになります.簡単に言えば,日本の医療機関はその程度のワクチン接種能力があることになります. しかし実際はそうならないでしょう.インフルエンザワクチンは打つ方も打たれる方も「勝手がわかっている」ために,効率よく大量接種できました.それも,接種機関は目も回るような忙しさに歯を食いしばって耐えて,その数字でした. 一方でCOVIDワクチンは何もかもが初めてですから,1人当たりの接種時間はインフルエンザワクチンの数倍かかるでしょう.しかも,コロナ患者が一般診療所でも次々に発見されるような流行状況では,ワクチン接種に多くの時間・人員・エネルギーを割くことができません. よって,少なくとも最初の数ヶ月は,800-1,000万/月のような接種数はとても無理だと思われます. では仮に日本全国で1ヶ月当たり300万件接種できたとしたら?人口1億2500万人のうち,対象者が9,000万人だったとしても,2回接種の完遂までに実に60ヶ月,5年かかってしまいます. 倍の600万接種/月でも,30ヶ月,2年以上かかります. 上述のアナフィラキシーの項でも見たとおり,米国では最初の10日間で180万件接種しましたが,その殆どが医療従事者でした.接種が最もスムーズに行われるはずの集団です.仮にそのペースを米国が全市民にも維持できたとしても,月に600万件弱です.人口3億1000万のうち対象者が仮に2億5000万だとして,2回接種完遂まで83ヶ月,7年近くです. いろんな工夫を各国が積み上げることで接種速度は速まっていくことでしょうが,必要人口をカバーできるまでに相当な時間がかかることは覚悟せねばならないでしょう. ===感染者数が少ない国ではワクチンの効果を国として実感しにくい====
==日本でのコロナワクチン接種体制について==

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