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上述のアナフィラキシーの項でも見たとおり,米国では最初の10日間で180万件接種しましたが,その殆どが医療従事者でした.接種が最もスムーズに行われるはずの集団です.仮にそのペースを米国が全市民にも維持できたとしても,月に600万件弱です.人口3億1000万のうち対象者が仮に2億5000万だとして,2回接種完遂まで83ヶ月,7年近くです.
いろんな工夫を各国が積み上げることで接種速度は速まっていくことでしょうが,必要人口をカバーできるまでに相当な時間がかかることは覚悟せねばならないでしょう.ロジスティクスその他の工夫を各国が積み上げることで接種速度は速まっていくことでしょうが,必要人口をカバーできるまでに相当な時間がかかることは覚悟せねばならないでしょう.
===感染者数が少ない国ではワクチンの効果を国として実感しにくい===
 
必要人口に行き渡るまでに時間がかかる一方で,感染者数が相対的に少ない国・地域ではワクチンの普及そのものの効果を実感しにくいという現象が起きます.
 
米国や英国はロックダウン政策すら効かないような感染爆発に襲われており,現在ではワクチンだけが唯一の制御手段となってしまっています.その場合,ワクチンの普及につれて感染者の増加カーブが次第に緩くなって減少に転ずる日が来るはずなので,ワクチンの国全体での効果を実感できることでしょう.
 
しかし例えば,完全と言っていいほどの感染制御に成功している台湾でワクチンを打ったら?すでに患者が殆ど出ていない状況ですから,当然ワクチンの効果を「実感」することは不可能です.より強い安心を得ることはできますが.
 
では日本ではどうでしょう?
 
第3波が急激に悪化しつつありますが,緊急事態宣言が首都圏に始まり複数都府県で順次再発令され,人々の行動が再び制限されつつある今,仮にワクチンが短期間で普及したとしても,それが人々の接触減のおかげなのかワクチンの効果なのか区別は困難だと思います.効果を区別するには,理論疫学を専門にされる先生方の解析に頼るしかなさそうです.
 
ワクチンの効果が国として実感できない場合,市民のワクチンへの信頼度が高まるかどうか不安があります.「なんかワクチン始まってるらしいけど,全体的に効いてるのかどうかわかんないよね,だったら打たなくていいんじゃないの?」という風潮が生まれると,全体に効果が出るはずのものも出なくなってしまいます.
 
これを乗り越えるには,行政や医療職が丁寧に説明を続けて市民の理解を得られ続けるよう努力するしかありません.
==日本でのコロナワクチン接種体制について==

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