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*VAERS(※米国のワクチン接種後有害事象集計システム)に2020/12/14-/23の間に,Pfizerワクチン接種後のアナフィラキシー反応が,計21例報告された
*この間に同ワクチンは 1,893,360 本接種された(全員が1回目接種)
*アナフィラキシー反応の発生頻度は100万接種当たり11アナフィラキシー反応の発生頻度は100万接種当たり'''11.1件である1'''件である*21例の年齢の中央値は40歳,範囲は27-60歳だった*21例中19例(90%)が女性だった
*21例中15例は接種後15分以内に発生した;時間経過の中央値は13分,範囲は2-150分だった
*21例中17例はアレルギーの既往があった;さらにうち7例はアナフィラキシー反応の既往があった21例中17例はアレルギーの既往があった(薬剤6例,造影剤2例,食物1例,ワクチン0例);さらにうち7例はアナフィラキシー反応の既往があった*診療録が確認できた20例全員が快復し帰宅できた21例中18例がアドレナリン筋注,1例がアドレナリン皮下注により治療開始された*21例中3例がICU入院,1例が一般入院,17例が救急外来のみでの治療だった*本報告時点でうち20例が快復し帰宅している
同じ米国での不活化インフルエンザワクチンによるアナフィラキシー反応は,米国CDCの報告によると100万接種当たり1===認可後に米国CDCが発表したPfizerワクチンでのアナフィラキシー反応===続いて4日後,Modernaワクチンのアナフィラキシー反応についても,米国CDCが2021年1月10日に以下のとおり発表しています. <div style="font-size:1.41件とされています.1em;">[https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7004e1.htm Allergic Reactions Including Anaphylaxis After Receipt of the First Dose of Moderna COVID-19 Vaccine — United States, December 21, 2020–January 10, 2021, Early Release, MMWR 70]</div>*VAERS(※米国のワクチン接種後有害事象集計システム)に2020/12/21-2021/1/10の間に,Pfizerワクチン接種後のアナフィラキシー反応が,計10例報告された*この間に同ワクチンは 4,041,396 本接種された(全員が1回目接種)*アナフィラキシー反応の発生頻度は100万接種当たり'''2.5'''件である*10例の年齢の中央値は47歳,範囲は31-63歳だった*10例全員(100%)が女性だった*10例中9例は接種後15分以内に発生した;時間経過の中央値は7.5分,範囲は1-45分だった*10例中9例はアレルギーの既往があった(薬剤6例,造影剤2例,食物1例,ワクチン0例);さらにうち5例はアナフィラキシー反応の既往があった*10例全員がアドレナリン筋注により治療開始された*10例中5例がICU入院(うち4例が気管挿管),1例が一般入院,4例が救急外来のみでの治療だった*本報告時点でうち8例が快復し帰宅している ===アナフィラキシーの頻度の解釈について===上記のとおり,2021年1月10日までの時点で,アナフィラキシー反応がPfizerワクチンで100万接種当たり'''11.1'''件,Modernaワクチンで100万接種当たり'''2.5'''件と報告されました. 同じ米国での不活化インフルエンザワクチンによるアナフィラキシー反応は,米国CDCの報告によると100万接種当たり'''1.41'''件とされています.
:[https://www.cdc.gov/flu/prevent/egg-allergies.htm Flu Vaccine and People with Egg Allergies]
したがって,見かけの数字としてはPfizerワクチンは不活化インフルエンザワクチンよりアナフィラキシー反応を起こしやすい可能性があります.
ただし,Pfizerワクチンは新登場のワクチンであるため,接種担当者が他のワクチンよりも注意深く観察したりより多くVAERSに報告している可能性が否定できません.したがって,見かけの数字としてはPfizerワクチン,Modernaワクチンともに,不活化インフルエンザワクチンよりアナフィラキシー反応を起こしやすい可能性があります.ただし,両者共に新登場のワクチンであるため,接種担当者が他のワクチンよりも注意深く観察したりより多くVAERSに報告している可能性が否定できません.
また,「たかだか180万件程度」の実績から判断しているため,今後1また,「たかだか180万件or400万件程度」の実績から判断しているため,今後1,000万件や1億件接種されれば,アナフィラキシーの報告数が変動する可能性も残されています.もちろん,11.1/100万よりも大きな数字になるかもしれません.000万件や1億件接種されれば,アナフィラキシーの報告数が変動する可能性も残されています.もちろん,上記報告よりも大きな数字になるかもしれません.
アナフィラキシー反応の発生頻度については,引き続き注意深く情報収集する必要があります.
:ちなみに私は研修医時代に,ナウゼリン座薬を処方した患者が診察室脇のトイレですぐに挿肛した途端にアナフィラキシーショックを起こされた経験があります.
今回の3ワクチンだけで過度にアナフィラキシーをおそれるのは控えるべきでしょう.参考までに,米国で1995年-2013年の18年間に報告された薬剤性アナフィラキシー19,836人(患者175万人中)の内訳をお示しします.{{Quote|content=[https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6311439/ Dhopeshwarkar N, Sheikh A, Doan R, et al.“Drug-Induced Anaphylaxis Documented in Electronic Health Records.” The Journal of Allergy and Clinical Immunology: In Practice 7, no. 1 (June 30, 2018): 103–11. https://doi.org/10.1016/j.jaip.2018.06.010]}}{|class="wikitable" style="align:right;"|-!colspan="2"|薬剤!100万投与当たり発生率(*)|-!rowspan="5"|{{V|抗菌薬}}!ペニシリン|4590|-!スルフォンアミド|1510|-!セファロスポリン|610|-!マクロライド|380|-!キノロン|370|-!colspan="2"|NSAIDs|1300|-!colspan="2"|オピオイド|980|}(*)原著では1万投与当たり発生率で記載;サイト管理者による換算標記 ご覧のとおり,Pfizer/Moderna両ワクチンよりも日常的な薬剤の方が遙かにアナフィラキシー頻度が高いことがわかります. 新型コロナワクチンで過度にアナフィラキシーをおそれるのは控えるべきでしょう.<br>もちろん,新型コロナワクチンに限らず,ワクチン接種時にはアナフィラキシーに備えた薬剤・医療機器の準備と緊急対応訓練を重ねるべきであることは,言うまでもありません.
==3ワクチン論文からわかること,わからないこと==

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