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|アナフィラキシー以外の機序によるアレルギー性疾患の既往がある患者(*)
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(*)アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎,花粉症,気管支喘息など
まず当然のこととして,*3ワクチンの1回目接種でアナフィラキシーが起きた患者は,2回目接種は絶対禁忌は言うまでもありません.補足説明です.
類似の理由で,*3ワクチン製剤にいずれかに含まれる添加剤およびその類似物質で,過去にアナフィラキシーの既往がある患者は,それを含むワクチン製剤は絶対禁忌も言うまでもありません.1. は説明するまでもなく当然のことですね.
一般的にワクチンによるアナフィラキシーは100万接種中1~数件程度のごく低い頻度ですが,原因物質は病原体成分そのものの場合と添加剤の場合の両方があります.例えば日本の麻疹風疹生ワクチンには,弱毒株培養過程で細菌混入を防ぐために,エリスロマイシンとカナマイシンが添加剤として含まれています.するとエリスロマイシンやカナマイシンでアナフィラキシーの既往がある患者は,日本の麻疹風疹生ワクチンは接種禁忌ということになります.2. については,アナフィラキシー既往のある患者で必ず原因物質を詳細に特定できているとは限りません.添加剤が原因なのか薬剤/ワクチンの主成分が原因なのか不明なままのアナフィラキシー患者も一定数います.<br>よって,アナフィラキシー原因薬剤の添付文書等で添加剤をよく確認し,接種予定のCOVIDワクチンの添加剤と1つでも共通する物質があれば2.を適用する,という対応が無難でしょう.
3. については,前項と同様に,アナフィラキシー原因ワクチンの添付文書等で添加剤をよく確認し,COVIDワクチンと共通する添加剤がないことを確かめます.<br>
その上で,未知の機序によるCOVIDワクチンでのアナフィラキシーの可能性と,接種対象者のCOVID感染リスクおよび重症化リスクを天秤にかけて,接種すべきか否かを対象者本人とよく協議して決断する必要があります.<br>
接種すると決断した場合は,アナフィラキシー時の救急処置の備えも万全にした上で,接種後30分間等の充分な観察が必要です.
 
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3ワクチン製剤にどんな添加剤が含まれているかは各社が公表はしていますが,日本で認可された際に作成される添付文書を参照するのが最も確実です.よって,認可と添付文書発行を待ちましょう(添加剤の化学成分名の標記が英語と日本語で異なることもあるので,日本語による公的資料が最も確実です).
なお現時点でわかっていることとして,3ワクチンとも,鶏卵,ゼラチン,その他動物由来成分は含んでいませんし,ラテックスも含んでいません.なお現時点で明らかなこととして,3ワクチンとも,鶏卵,ゼラチン,その他動物由来成分は含んでいませんし,ラテックスも含んでいません. 同じく現時点で明らかなこととして,3ワクチン中Pfizerワクチンのみが含んでいるポリエチレングリコール(PEG)は,種々の食品や化粧品,薬剤に含まれており,アナフィラキシー原因物質として知られています.<br>ポリエチレングリコールが原因のアナフィラキシーの既往がある患者は,上表の2.を適用して,Pfizerワクチンについては絶対禁忌とせざるを得ません.かつ,Moderna, AstraZeneca両ワクチンについては,上表の3.を適用し,充分な説明に基づく決断と,接種する場合の万全の準備が必要です.</div> 4. は意外に思われるかもしれませんが,COVIDワクチンに限らず,ワクチン接種全般に共通する注意点です(※ただし,ゼラチンアナフィラキシー者でのゼラチン含有ワクチンや,鶏卵アナフィラキシー者での黄熱ワクチンは,2.を適用します).すなわち,添加剤含めてワクチン以外によるアナフィラキシーの既往があっても,それ自体がワクチンによるアナフィラキシーのリスクを明らかに増大させるわけではありません.<br>しかし,アナフィラキシーの既往自体で対象者本人が不安に感じるのは当然ですし,接種医が警戒するのも当然のことです.<br>また,既往がなくともCOVIDワクチンによるアナフィラキシーリスクはあります.<br>一方で,3ワクチンとも含んでいるポリエチレングリコール(PEG)は,種々の食品や化粧品,薬剤に含まれており,アナフィラキシー原因物質として知られています.よって,本人の不安に応える説明を十分に行い,アナフィラキシーに対する当然の備えを万全にした上で,接種することが必要でしょう.
5. も意外に思われるかもしれませんが,一口にアレルギーと言ってもかなり幅が広い現象です.アナフィラキシーとアトピー性皮膚炎は異なる病態ですし,アレルギー性鼻炎に寄与するのがⅠ型アレルギーであってもアナフィラキシーという全身性の病態とは異なります.<br>
そもそもそれらアレルギー性疾患を持つ人は今や人口の数10%を占めます.花粉症の自覚がないという人の方が少ないぐらいでしょう.それでも米国CDCの報告でPfizer, Moderna両ワクチンによるアナフィラキシー頻度は100万接種中2.5-11.1件とごく低頻度です.アナフィラキシーではないアレルギー性疾患の既往は,アレルギー既往がない人と同程度の注意での接種が可能なのです.<br>
もちろん,4.と同じく,アナフィラキシーに対する備えを万全にした上で接種するのは,当然のことです.
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