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==HIV感染者,免疫抑制状態,免疫抑制療法との間隔==
Pfizer治験ではCD4≧200の安定したHIV感染者が参加者に含まれていましたが,phase 3論文での解析からは除外されています.<br>
AstraZeneca治験でも一部のアームでHIV感染者が含まれていますが,やはりphase 3論文での解析からは除外されています.<br>
Moderna治験では治験そのものから除外されています.<br>
その他の何らかの理由による免疫抑制状態,免疫抑制療法中の患者はいずれの治験からも除外されています.
 
よって3ワクチンとも,現時点ではHIV感染者および免疫抑制状態および免疫抑制療法中の患者に対する効果と安全性はわかっていません.
 
ただし少なくとも,3ワクチンとも非生ワクチンですので,一般論としては免疫抑制者でも禁忌理由はないと言えます.<br>
Pfizer, ModernaのmRNAワクチンは純粋に抗原のみが体内を循環しますし,AstraZenecaワクチンはウイルスベクターワクチンではあっても増殖能を欠失させたベクターウイルスですので免疫抑制者の体内でも増殖できずやはり抗原だけが循環することになります.
 
一方で,それらの患者のCOVID感染リスクおよび重症化リスクが高いことは言うまでもありません(CD4≧200のHIV患者のリスクについては非感染者と変わらないという研究もあります).
 
もう1点重要なことは,免疫抑制者であるが故に,ワクチンによる免疫獲得が不十分になるおそれもあるということです.これは3ワクチンに限らずワクチン全般に言えることです.
 
これらを踏まえると,HIV感染者,免疫抑制状態および免疫抑制療法中の患者に対しては,接種によってCOVID感染および重症化リスクを軽減することが期待できるものの,効果と安全性が直接は検証されていないこと,特に効果が不十分になるおそれがあること,および未知の有害事象のリスクがあることを充分に説明した上で,接種可否を決断する必要があります.
 
なお,もしも免疫抑制療法の開始を接種完遂まで保留できるならば,2回目接種を完遂した上で,理論的な免疫応答が完了する4週間程度の間隔を空けてから,免疫抑制療法を開始するのがベストかもしれません.ただしこれは理論的な推測のみであり,臨床研究による裏付けはありません.
 
いずれの選択においても,原疾患の主治医に事前にコンサルトすることは必須です.
 
[https://www.cdc.gov/vaccines/covid-19/info-by-product/clinical-considerations.html#underlying-conditions 米国CDC-ACIPの指針]および[https://assets.publishing.service.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/955548/Greenbook_chapter_14a_v6.pdf 英国Greenbookの記載(PDF14ページ)]も参考にしてください.
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