最も大きな違いは,体幹と四肢の保護に'''ガウン'''と'''カバーオール'''のいずれを用いるかです.
下表のとおり,カバーオールの方が保護部位が広く,開き部の固定もしっかりしますが,そのぶん着脱に技能と時間を要します. {|class="wikitable" style="max-width:600px; text-align:center;"
|+ガウンとカバーオールの違い
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!|colspan="2"|!style="width:4540%;"|ガウン!style="width:4540%;"|カバーオール|-!rowspan="4"|保護部位!!頭部|×||○|-!体幹|○||○|-!上肢|○||○|-!下肢|△ 膝丈前面まで||○
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!保護部位colspan="2"|形状|style="text-align:left;"|*体幹背面開き*両上肢*膝丈程度までの下肢前面割烹着のように袖を通して着用|style="text-align:left;"|*頭部*体幹*両上肢前面開き*両下肢ズボンのように履いてから袖を通しフードをかぶる
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!形状colspan="2"|固定|style="text-align:left;"|*背面が開いており,割烹着のように袖を通して着用*首の後ろにマジックテープ,腰回りにひもがある*マジックテープとひもで背中の開き部を固定首の後ろマジックテープ,腰回りのひもで背中の開き部を固定|style="text-align:left;"|*前面が開いており,ズボンのように履いてから袖を通しフードをかぶる*前面にファスナーと粘着テープがある*上げたファスナーを覆い隠すように粘着テープで目張りして固定前面のファスナーと粘着テープで前面の開き部を固定
|}
なお,カバーオールは日本語で「'''つなぎ防護服'''」「'''防護服つなぎ'''」とも呼ばれます.
「防護服」という呼称は,通常はカバーオールタイプを指します.「防護服」という呼称はカバーオール型の製品を指します.元が産業現場での化学物質付着を回避するために製品化されたので,「'''化学防護服'''」と呼ばれることもしばしばです.<br>しかし,総称としてのPPE(個人防護具)の意味で「防護服」と呼ぶ場合も散見されます.しかし,総称としてのPPE(個人防護具)を誤って「防護服」と呼ぶケースも散見されます.<br>誤解と混乱の元になるので,サイト管理者は「防護服」という言葉はなるべく使わないようにしています.誤解と混乱の元になるので,用語は適切に使い分けましょう.
また,カバーオールのことを「タイベック®」「タイベック®スーツ」等で呼ぶ場合もありますが,これらは'''特定メーカーの商標'''です.<br>
スタンプ型印鑑を「シャチハタ®」,接着剤を「セメダイン®」,鍵盤ハーモニカを「ピアニカ®」と呼ぶのと同じです.<br>
詳細は[[#カバーオール(つなぎ,防護服)カバーオール(防護服,化学防護服,つなぎ)|後述します]].
===その他の部位のPPE===
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!頭部
|'''キャップ'''||一体型フード 一体型'''フード''' '''※1'''
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!眼球/顔面
|colspan="2"|'''フェイスシールド ''' または '''ゴーグル'''
|-
!呼吸器
|'''サージカルマスク'''<br>または '''N95マスク'''|'''N95マスク ''' '''※2'''<br>または '''PAPR ''' '''※3'''|-!体幹|colspan="2"|体液等からの保護のために<br>'''袖無しエプロン'''を重ねる方法もある
|-
!手部
|colspan="2"|'''グローブ'''
|-
!足部
|一般に保護しない '''※4'''
|'''フットカバー'''<br>または '''ゴム長靴'''
|}
;※1 脱衣時等の安全のためにフード下にキャップをかぶる方法もある
==PPEに関する規格の整理==
PPEにはそれぞれの素材や完成品についてさまざまな産業規格が定められています.
産業規格は日本や世界各国が,自国で流通する製品に対して国として統一基準を示し,品質の維持改善や商取引の合理化等を図るためのものです.
===日本の産業規格===
'''日本'''では「[https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=324AC0000000185 産業標準化法]」に基づいて[https://www.jisc.go.jp/jis-act/index.html '''日本産業規格 JIS''' (Japanese Industrial Standards)] が制定されています.
*JISは長らく「日本'''工業'''規格」の名称でしたが,法改正により2019年から「日本'''産業'''規格」に変更されました.英語名及び英略称はそのままです.
===米国の産業規格===
'''米国'''には [https://www.ansi.org/ '''ANSI'''(American National Standards Institute アメリカ国家規格協会)]が制定する産業規格があり,さらに医療器具等の規格を提唱する非営利団体 [https://www.aami.org/ '''AAMI'''(Association for the Advancement of Medical Instrumentation 医療器具開発協会)]もあります.
*米国には産業規格とは別に,労働安全法規を所管する中央官庁 [https://www.osha.gov/ '''OSHA''' (Occupational Safety and Health Administration 労働安全衛生局)](Department of Labour 労働省の下位組織),および労働安全についての国立研究所 [https://www.cdc.gov/niosh/index.htm '''NIOSH''' (National Institute of Occupational Safety and Health 国立労働安全衛生研究所)](CDCの下位組織;CDCは Department of Health and Human Services DHHS 厚生省の下位組織)もあります.([https://www.bdj.co.jp/safety/1f3pro00000crqwl.html 参考])
*NIOSHはあくまでも研究機関ですが,NIOSHが発出する医療安全に関する推奨等は米国内でのPPEの製造または使用にも影響を与えています.
*さらに,医薬品及び医療機器等の認可を担う中央官庁 [https://www.fda.gov/ '''FDA'''(食品医薬品局)](CDCと同じくDHHS厚生省の下位組織)があり,医療向けに販売されるPPEの認可も行っています.
===EUの産業規格===
'''EU'''(欧州連合)には [https://www.cen.eu/Pages/default.aspx '''CEN'''(European Committee for Standarization 欧州標準化委員会)]やCENELEC(欧州電気標準化委員会),ETSI(欧州通信規格協会) が制定する産業規格 [https://www.en-standard.eu/ '''EN'''(European Standards EN規格)]があります.
*ただしEUとしての統一的な発出ではなく,加盟各国が自国規格としてそれぞれ発出しています.([https://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-400383.php 参考])
===国際統一規格===
こうした国・地域別の産業規格の'''国際統一'''を図る団体として [https://www.iso.org/ '''ISO'''(International Organization for Standarization 国際標準化機構)]があります.
*ISOが定める規格には,国際条約としての国家拘束力はありません.しかし加盟各国は自国の規格が国際的に通用することを目標に,ISOを参照しつつ国内規格を制定しています.
===国・地域別産業規格のまとめ===
{|class="wikitable" style="width:450px; text-align:center;"
!colspan="3"|国際統一
|-
|colspan="3"|[https://www.iso.org/ '''ISO''']
|-
!style="width:33%;"|日本
!style="width:33%;"|米国
!style="width:33%;"|EU
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|rowspan="2" style="valign:top;"|[https://www.jisc.go.jp/jis-act/index.html '''JIS''']<br>※日本には医療用PPEの認証制度はない
|[https://www.ansi.org/ '''ANSI''']<br>[https://www.aami.org/ '''AAMI''']
|rowspan="2" style="valign:top;"|[https://www.en-standard.eu/ '''EN''']
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|研究機関:[https://www.cdc.gov/niosh/index.htm '''NIOSH''']<br>認証機関:[https://www.fda.gov/ '''FDA''']
|}
===日本で流通しているPPEの産業規格===
現在日本の医療現場で使用されているPPEは多種多様で,'''日本のJISに準拠した製品ばかりではありません'''.
外国製品のライセンス生産および輸入品等では,'''米国のANSI/AAMIに準拠した製品'''もあれば,'''EUのENに準拠した製品'''も流通しています.
==サージカルマスク==それらの国・地域ごとの産業規格(製造基準や品質検査基準等)は,参照元になっているISO規格を通じて互換性があることが大半です.
==N95マスク,DS2マスク,類縁製品==そのため,PPE各製品はカタログや仕様書等に'''互換性のある各国規格を併記している'''ことがしばしばあります.:例)カバーオールの素材が準拠している互換規格として「JIS T 8115:2005 — EN 14605」と併記されている
==ガウン(アイソレーションガウン,サージカルガウン)==
===アイソレーションガウンとサージカルガウンの違い===
ガウンは「アイソレーションガウン」と「サージカルガウン」の2つの名称で流通しています.
日本では両者に法令上の区別はなく,販売時にメーカーが呼称するのみです.
==カバーオール(つなぎ,防護服)カバーオール(防護服,化学防護服,つなぎ)== ==サージカルマスク== ==N95マスク,DS2マスク,類縁製品==