通知,事務連絡,その他文書の違い

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「通知」「事務連絡」「その他の文書」の違いを以下に解説します.

直接的な法的拘束力はない

まず,感染症対応に関して発出される「通知」「事務連絡」「その他の文書」のいずれも,直接は法的拘束力のある文書ではありません.

法的拘束力があるのはあくまでも法令,すなわち,法律(◯◯法),政令(◯◯法施行令),省令(◯◯法施行規則)です.

通知等は,それら法令を具体的かつスムーズに実現するための,各現場向けの letter のようなものです.

ただし,通知は法令を運用する際の具体的方針等が書かれるのが一般的であるため,実質的に法令の延長のような性格を持ちます.

通知

  • 法令の運用に直接関わる内容が書かれてあることが一般的.
    • 「◯◯法第◯条に係る措置は,◯◯の場合には◯◯,◯◯の条件なら◯◯によって行う」などの内容.
  • 通常は,厚生労働省をはじめとする中央省庁の,法令所管部署の課長級以上の名前で発出される.
    • 例)感染症法及び検疫法を所管しているのは厚生労働省 健康局 結核感染症課であり,たとえば感染症法施行令の細部の運用に関する通知は,結核感染症課(課長)又は健康局(局長)の名前で発出されるのが一般的.

事務連絡

  • 法令運用に直接関わらないが,周辺の細々したことをお知らせしたりお願いする内容が書かれてあることが一般的.
    • 「◯◯について◯◯を配布するので活用されたい」「◯◯という報道等が見受けられるが,◯省は引き続き◯◯として対応している」などの内容.
  • 中央省庁の直接の担当部署,又は自治体の感染症対策部署等から発出されるのが一般的.
  • ありとあらゆる「周知したいこと」について発出される.
  • 官公庁においては「ジムレン」と略して呼ぶことが多い(jargon).

依頼

  • 国(中央省庁)から「依頼」と題した文書が発出されることはあまり一般的ではないが,自治体や医師会等から医療機関向け等に発出されることはある
  • 上記「事務連絡」が周知することを目的とするのに対し,お願いしたいことが明確な場合に「依頼」と題することがある
    • ×「命令」や ×「指示」ではないことに注意

ガイダンス,ガイドライン等

  • 感染対策,検体採取の方法,患者等への説明方法などの,技術的な細部について,目安を周知したり,現場の足並みを揃えることが目的
  • 一定の手法で長時間かけて構築される「診療ガイドライン」とは異なり,expert opinionに近い
  • 対応を日本全体で一定の質に保つために,各医療機関,各医師等が遵守することが望ましい
    • 足並みが揃っていることは患者や住民にとっても安心材料のひとつ

「通達」は官公庁の外部(医療機関等)に対しては発出されません!

民間等において,通知等を総称するように「通達」と表現されることがありますが,上記は決して「通達」には該当しません.

「通達」とは,行政組織の内部において上位組織から下位組織に対する指示命令として発出されるもののみを指します.

細かいことですが,官公庁は外部に対して発出する上記文書類を「通達」と表現することは決してありませんので,ご留意ください.