「症例定義|その他関連する通知等」の版間の差分
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− | | | + | | 感染症法に定められた感染症を発見した場合は、感染症法第12条等に基づいて医師等が管轄の保健所に発見を届け出る義務があります。 |
− | + | それぞれの感染症を、どのような条件で疑い、どのような方法で診断し届け出るかを定めた「'''届出基準'''」が別途定められています。<br> | |
− | + | その届出基準に「'''新型コロナウイルス感染症を新たな項目として加える'''(=一部改正)」という主旨の通知です。 | |
− | + | 文中に「症例定義」という語はありませんが、これが厚生労働省が定めた新型コロナウイルス感染症の<span style="font-weight:bold; color:red; font-size:1.5em;">公式の症例定義</span>です。<br> | |
− | + | 宛先は自治体の感染症担当部署ですが、<span style="font-weight:bold; color:red;">臨床医にとっても極めて重要な通知</span>です。<br> | |
<span style="font-weight:bold; font-size:1.3em;">詳細は下記「[[#現行の症例定義]]」を参照</span> | <span style="font-weight:bold; font-size:1.3em;">詳細は下記「[[#現行の症例定義]]」を参照</span> | ||
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− | | | + | | 従来から定められている「届出基準」の「一部改正」を定めた通知であるため、「'''新旧対照'''」という形で書いてあります。<br> |
− | + | 行政文書の習慣として、<u>新規追加又は改正された箇所にはアンダーラインを引いてあります</u>。<br> | |
− | + | これまでは存在しなかった「指定感染症」の項目として新型コロナウイルス感染症が新規追加されたため、<u>すべての文章にアンダーラインを引いてあります……'''よって大変読みづらい'''</u>。 | |
:※アンダーラインが引かれていないバージョンは、[https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000592141.pdf 改正済みの届出基準(PDF)]にあります。ただし、エボラ出血熱から始まりすべての感染症が書かれてあるので、ボリュームが大きいです。 | :※アンダーラインが引かれていないバージョンは、[https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000592141.pdf 改正済みの届出基準(PDF)]にあります。ただし、エボラ出血熱から始まりすべての感染症が書かれてあるので、ボリュームが大きいです。 | ||
:*[https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000592141.pdf 改正済みの届出基準:新型コロナウイルス感染症はPDF 126ページ目] | :*[https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000592141.pdf 改正済みの届出基準:新型コロナウイルス感染症はPDF 126ページ目] | ||
− | + | また、これまでは存在しなかった「指定感染症」の項目番号として「第7」が割り当てられ、これまで「第7」に割り当てられていた疑似症届出基準には「第8」の番号が割り当てられました。<br> | |
− | + | 本通知の末尾のページは、疑似症届出基準の項目番号「第7」を「第8」に改正したことを新旧対照しているだけであり、疑似症届出基準の内容には全く変更がありません。わかりづらいのでご注意ください。 | |
:こういう些末なことにもエネルギーを使うのが行政文書の常です…。 | :こういう些末なことにもエネルギーを使うのが行政文書の常です…。 | ||
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2020年2月13日 (木) 20:19時点における版
新型コロナウイルス感染症(指定感染症)に関する通知等を下記に整理します。
指定感染症と感染症法については「指定感染症とは|感染症法の解説」を参照してください。
通知や事務連絡などの違いについては「通知,事務連絡,その他文書の違い」を参照してください。
目次
最終更新日時
2020年2月8日 13:22
最新の通知
発出日 | 令和2(2020)年2月3日 |
---|---|
発簡番号 | 健感発0203第2号 |
発簡者 | 結核感染症課長 |
文書名 | 感染症の予防及び感染症の患者に関する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等について(一部改正) |
配布先 | 都道府県・保健所設置市の衛生主管部(感染症担当部署) |
概要 | 感染症法に定められた感染症を発見した場合は、感染症法第12条等に基づいて医師等が管轄の保健所に発見を届け出る義務があります。
それぞれの感染症を、どのような条件で疑い、どのような方法で診断し届け出るかを定めた「届出基準」が別途定められています。 文中に「症例定義」という語はありませんが、これが厚生労働省が定めた新型コロナウイルス感染症の公式の症例定義です。 |
備考 | 従来から定められている「届出基準」の「一部改正」を定めた通知であるため、「新旧対照」という形で書いてあります。 行政文書の習慣として、新規追加又は改正された箇所にはアンダーラインを引いてあります。
また、これまでは存在しなかった「指定感染症」の項目番号として「第7」が割り当てられ、これまで「第7」に割り当てられていた疑似症届出基準には「第8」の番号が割り当てられました。
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最新の事務連絡
名称 | ||
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宛先 | ||
概要 | ||
備考 |
現行の症例定義
令和2(2020)年2月3日付け通知(健感発0203第2号)に基づく症例定義は下記のとおりです。
臨床的特徴
まず最初に、臨床的な特徴が述べられています。
感染源 | 感染源動物等は不明(2020年2月2日時点) | |
---|---|---|
ヒト-ヒト感染 | あり | |
潜伏期間 | 2-10日間 | |
症状 | 初期 | 感冒様症状
|
中後期 | 発症後5-14日後に一部が肺炎に至る
| |
重症化リスク | 高齢者、合併症がある場合 |
感染が疑われる患者=検査対象患者
「感染が疑われる患者」、すなわち検査の対象となる患者は、次のように定義されています。
| |||||||
症状 | 接触時期 | 接触内容 | 備考 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
ア | 発熱または呼吸器症状
|
+ | 接触時期を問わず | 確定患者との濃厚接触 |
| ||
イ | 発熱≧37.5℃ | + | 呼吸器症状 | + | 発症前14日以内に | 湖北省に滞在 |
|
ウ | 発熱≧37.5℃ | + | 呼吸器症状 | + | 発症前14日以内に | 湖北省に滞在歴がある人との濃厚接触 |
|
エ | 感染症様の症状 | + | 集中治療等が必要 | + | 直ちに原因を診断できず、新型コロナの鑑別を要する |
| |
|
なお、上表では滞在地を簡便に「湖北省」と書きましたが、改正された届出基準の本文には、
- 「WHOの公表内容から 新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域」
と書かれてあります。
これに対して通知の本文(1ページ目)において、
- 「WHOの公表内容から 新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域は湖北省をいう」
とあっさり一言で指定されています。
これにより、現状では滞在先が湖北省に限定されるということです。
これは、今後流行地域が拡大した場合に、再度通知を発出して「WHOの公表内容から 新型コロナウイルス感染症の流行が確認されている地域」を指定し直すことで臨機応変に症例定義を変えられるということでもあります。
そのような工夫がなされた通知であり届出基準ということです。
感染が疑われる患者=検査対象患者のフローチャート
検査
上記の臨床的特徴があり、かつ、上表の条件(症例定義)を満たす疑い患者に対して、次の方法で検査を行います。
検体 | 検査法 |
---|---|
|
|
検体採取は疑った医師が医療機関で行い、採取した検体を自治体(保健所)が回収し、感染症法第15条第4項に基づいて都道府県知事(保健所設置市長)の義務として検査が実施されます。実際には、自治体が所管する地方衛生研究所(地衛研)等の検査機関で行われます。
ウイルス分離は数日以上の時間と手間を要する検査なので、実際にはPCR法(リアルタイムRT-PCR法、rRT-PCR法)によるウイルスゲノム検出が優先されます。rRT-PCR法であれば通常は半日~1日で結果が得られます。rRT-PCR法が陽性で診断確定となった場合に、地衛研等の判断で事後的にウイルス分離を試みる可能性もあります。
診断確定と届出
上記検査の結果は、地衛研又は自治体感染症担当部署から担当医に報告されます。
結果が陽性であれば診断確定となり、担当医には感染症法第12条に基づく届出の義務が生じます。
届出は、上記通知とともに発出された新型コロナウイルス感染症専用の届出様式に記入し、届出する医師が署名又は記名捺印を行い、管轄の保健所に提出します。